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2022.10.20
The Saxophone mouth piece of Silver.
先月ご注文頂きました面白いオーダーメイド。サックスのマウスピースです。ご注文主のMさんから岐阜よりサンプルのマウスピースをお送り頂いたのですが、結構デカいんですね!が最初の感想でした。加えて、外側と内側の立体構造が一見シンプルに見えて複雑です。流動性を考慮してか内部は曲線で構成されていました。この内はアール・ヌーヴォー、外はアール・デコ様式みたいな構造が意外に難しく、作りから研磨に至るまで終始気が抜けない製作でした。おまけに容積もあるので総重量も100g超えております。一番苦心したのが上部?(多分こっちが上と思う)のフラットな部分があるのですが、そこへリード(竹製でしょうか?)がピッタリと付き、微妙~な曲線を描き先端に向けて少~し浮くのです。「多分この辺が音色に関わるんだろうなー…」とサックスは触ったこともない小生でも創造がつくカタチでした。完成後、無事M様へお渡し後「銀の音色です!」のご感想を頂きホッとしたのです。口の歯が当たる部分に本来エボナイトが使用され云々の課題が出てきましたが、そこはマウスピース業者さんが何とか御対応頂けたようで何よりでした。何気にこれら楽器関係のオーダーや加工の依頼がこの銀細工の店にポツポツと来るのですが、毎回本当に面白く、勉強になります。アクセサリーと言うと通常、装飾性やデザイン性から考慮する強度や構造の範囲を超えませんが、そこへ「音」という次元が加わり、その音がカタチにも影響を与え、銀という素材がまた音にも影響を与えるわけです。形のない音、と物質である素材。それを支配する法則。想像が尽きませんね。